見積書の下書きをAIに作らせるときの、過去データの渡し方
過去の見積と単価表をAIが読める形に整え、問い合わせから見積の下書きを作るまでの手順です。
この記事で分かること
- AIに渡す過去の見積の選び方
- 単価表の整え方
見積書づくりは、過去の似た見積を探し、単価表を見ながら金額を積み上げる作業です。慣れた人なら早くても、探す手間や計算の見直しに時間がかかり、担当者が限られがちです。
この作業のうち、「似た見積を探して、品目と金額の下書きを作る」ところは、AIに任せやすい部分です。ただし、AIに渡すデータが整っていないと、もっともらしい間違いが混じります。この記事では、AIに渡す過去データの選び方と整え方、下書きを作らせるまでの手順をまとめます。
AIに任せる範囲を決める
見積の金額は、会社としての判断そのものです。AIに決めさせるのではなく、下書きを作らせて人が決める、という分け方にします。
AIに任せること
- 問い合わせの内容から、必要な品目・作業を書き出す
- 過去の似た見積を参考に、品目と数量の下書きを作る
- 単価表の単価を当てはめて、小計と合計を出す
- 問い合わせに書かれていない、確かめるべき点を挙げる
人が判断すること
- 品目と数量が、問い合わせに合っているか
- 値引きや特急料金など、取引先や状況に応じた調整
- 最終の金額と、出してよいかどうかの判断
過去の見積を集める
AIに渡す過去の見積の選び方
過去の見積を全部渡せばよい、というわけではありません。古い単価や、特別な事情で値引きした見積が混じると、AIはそれを手本にしてしまいます。
- 新しいものを選ぶ 単価が今と同じ時期の見積にしぼります
- 受注できた見積を中心にする 出しただけで決まらなかった見積は、金額が合っていなかった可能性があります
- よくある案件を選ぶ 特別な値引きや、一度きりの案件は外します
- 種類ごとに分ける 製品の種類や作業の内容ごとに、数件ずつそろえます
まずは、よく問い合わせのある案件の種類を1つ選び、その見積を5〜10件ほど集めるところから始めます。
個人や取引先の情報を外す
過去の見積には、取引先名や担当者名が入っています。AIに渡す前に、これらを消すか「A社」のように置き換えます。入力した内容が学習に使われない、法人向けのプランや設定を使うことも前提です。
単価表を整える
AIが単価を正しく当てはめられるかどうかは、単価表の形で決まります。
- 1行に1品目、1つの単価にする 1つのセルに「1〜99個は○円、100個以上は○円」のように書かず、数量の段階ごとに行を分けます
- 品名の呼び方をそろえる 同じものに別の呼び名があると、AIが別の品目だと思ってしまいます。社内の呼び名を1つに決め、別名は「別名」の列に書きます
- 単位を列にする 個・枚・時間・式など、単位を必ず書きます
- いつの単価かを書く 表の上に「○年○月から」と書いておきます
Excel やスプレッドシートの表のままで構いません。この形にしておくと、AIだけでなく、新しく入った人にも読みやすい単価表になります。
下書きを作らせる
渡すもの
- 今回の問い合わせの内容(メールの本文や、聞き取ったメモ)
- 整えた単価表
- 似た案件の過去の見積(数件)
指示文の例
あなたは見積担当の補助です。添付した単価表と過去の見積を参考に、
次の問い合わせに対する見積書の下書きを作ってください。
問い合わせ:
[ここに問い合わせの内容を貼る]
形:
品目/仕様/数量/単位/単価/金額 の表と、小計・消費税・合計
決まり:
・単価は、必ず単価表の値を使ってください。単価表にない品目は、単価を空欄にして「[単価表になし]」と書いてください
・問い合わせからわからない数量や仕様は、推測せず「[要確認:○○]」と書いてください
・表のあとに、お客様に確かめるべき点を箇条書きで挙げてください
「単価は単価表の値だけを使う」「わからない所は[要確認]と書く」が、この指示文の要です。AIは、単価表にない品目にも、それらしい単価をつけてしまうことがあるためです。
下書きを見るときの点
- 品目の抜けがないか(運賃・梱包・版代などの付帯の費用も含めて)
- 単価が単価表と合っているか
- 合計の計算が合っているか(AIは計算を間違えることがあるので、表計算で検算します)
- [要確認]の所を、お客様に確かめたか
AIが作るのは見積の下書きです。金額は、必ず担当者が確かめて決めてから出してください。
うまく回すために
- よく使う指示文を1つに決める 担当者ごとに指示が違うと、下書きの形がばらつきます
- 単価が変わったら、すぐ単価表を直す 古い単価表のままだと、下書きも古い金額になります
- 確かめた見積を、次の手本に足していく 人が確かめて出した見積がたまるほど、下書きの精度が上がります
見積の下書きをAIに任せると、担当者は「金額を決める」ことに時間を使えるようになります。まずは、よく問い合わせのある案件の種類を1つ選び、単価表を整えるところから始めてみてください。